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乳頭山の山懐、7つの宿がたたずむ静かな温泉郷
秋田新幹線「田沢湖駅」から車で約20分、路線バスだと約50分。
高原のドライブ気分を味わいながら車窓の風景を楽しんでいると「乳頭温泉郷」に到着します。
乳頭温泉郷は、秋田県乳頭山麓に鶴の湯、妙乃湯、黒湯、蟹場(がにば)、孫六、大釜、休暇村乳頭温泉郷の7つの宿からなる、ブナの林に抱かれた静かな温泉郷です。
温泉郷内の6つの湯はそれぞれ互いに歩いて5分から20分くらい、少し離れている鶴の湯でもゆっくりと歩いて60分の距離にあり、湯めぐりにもぴったりの温泉地。「湯めぐり帖」*を片手に、小鳥のさえずりや先達川のせせらぎをBGMに7湯をめぐってみました。
*「湯めぐり帖」:
宿泊者限定販売で、1冊1500円で7つの宿の湯を楽しむことができます。
利用時にはスタンプを押してもらえますので、旅の記念としてもステキですよ。
個性的な7つの宿、7つの湯をめぐって
まずは黒湯温泉。乳頭温泉郷の最も奥に位置し、敷地内に入るとすぐに硫黄の匂いが鼻をつきます。それもそのはず、敷地に入ってすぐ、露天風呂の手前に源泉が湧き出でているからです。まさに秘湯のイメージ。泉質は単純硫化水素泉・酸性硫黄泉。白濁した湯はまろやかな湯ざわりです。


次に向かったのは孫六温泉。黒湯から夏草の茂る小道を抜けると視界が開け、先達川が見えます。その先達川にかかった可愛らしい木の橋の向こう側、川岸にある湯です。4つある源泉はそれぞれ泉質が異なり単純泉が基本。川原にせり出すような露天風呂が圧巻です。


孫六温泉から先達川に沿うように道路を行くと大釜温泉にたどりつきます。木造校舎を移築したという建物は、堂々として落ちついた雰囲気に包まれています。浴槽の湯はやや熱めですが、熱めの湯が好みの方には癖になりそうな湯温です。泉質は酸性含ヒ素ナトリウム塩化物硫黄塩泉です。


蟹場温泉には夜お邪魔しました。本館から夏草の茂る小道を行くと小さなせせらぎの向こうに露天風呂が。提灯とランプの灯りだけだと、自然の真っ只中で湯に浸かっていると実感します。夜間の写真に写しだされた湯気の量にもびっくり。昼間とはまた違う幻想的な温泉を満喫しました。


2日目は鶴の湯からスタート。元禄14年(1701年)開湯と乳頭温泉郷の中で最も古い鶴の湯は、藩主の警護の武士が詰めたという「本陣」がそのまま湯治用の宿泊棟になっています。露天風呂は底からポコポコと源泉が湧き出していますが、湯ざわりはなめらかです。


続いて休暇村 乳頭温泉郷へ。広めの部屋やベッドタイプの部屋などが揃い、家族連れにはぴったりのホテルタイプの宿です。天井が高く広々とした浴室と露天風呂を備えた本格派温泉施設。浴室内には2種類の源泉からなる2つの浴槽が並んでいて、かわるがわる入れるのも温泉好きには嬉しい限りです。


最後に向かったのは妙の湯。ここは女性が好みそうなシックな雰囲気の宿です。「金の湯」と「銀の湯」があり、とくに金の湯はカルシウム ナトリウム 硫黄塩泉で乳頭温泉郷では珍しい黄金色の湯。また女湯には湯船の床に砂利を敷いたものもあり、マッサージ効果で気持ちよくゆったりとした気分になります。


はじめて訪れた乳頭温泉郷。7つの湯、どこも広大な自然と調和し、しっとりとした美しい風情を保った、たたずまいが印象的でした。景観に関する取り決めがあるのかと思って尋ねたところ、そのような取り決めはなく、温泉郷をそれぞれの宿が愛して大切にしてきた結果、この美しい景観が作られたそうです。
それぞれの湯の質にもしっかりとした個性があり、湯の感触、温度、香りなど、7湯を回るとそのはっきりとした違いに驚かされます。「ですから、お客様のとりあいにはならないんですよ」という話にもうなずけます。7湯めぐりの途中、あるいは入浴中に出会った方々も「家族連れ」「トレッキングの途中らしき方」「療養目的らしいお年寄り」「温泉好きそうな中年男性」「女性の友達同士」「近隣の方々」と本当にさまざま。皆さんがそれぞれお好みの湯や宿を使われているのが印象的でした。
7湯それぞれ「個性的」な湯と宿ばかりなのに、乳頭温泉郷というひとつのイメージはしっかりとまとまっている。「郷」の理想的な形がここ、乳頭温泉郷にはありました。 そして忘れてならないのは、美しいブナの回廊と先達川のせせらぎ。郷についた瞬間にふっとマイナスイオンたっぷりの空気につつまれる至福のひととき。まさに温泉の「転地効果」そのものを実感します。 温泉郷を後にしながら「あの人とくるならどの湯がいいかな」と思いをめぐらせました。
乳頭温泉郷から国道を少し下ると、駒ケ岳、田沢湖が一望できるスポットがあります。また、田沢湖スキー場からは乳頭温泉も程近く、スキーやスノーボードの後に本格的温泉を愉しむには絶好のロケーションです。
田沢湖は日本一深い湖。浅瀬が少なく「岸からバケツをおろしたような」形状で、神秘的なブルーの水面が印象的です。
(取材:高田裕子)

- JRなら
秋田新幹線こまちで「田沢湖」駅下車
車で約20分、路線バスで約50分 - 飛行機なら
秋田空港から、秋田エアポートライナーを利用 - マイカーなら
東北自動車道盛岡インターチェンジより
約1時間 秋田市から約1時間半
- 乳頭温泉郷は秋田県を代表する秘湯の一つです。7つの温泉宿を合わせて乳頭温泉郷と呼ばれています。それぞれ独自の源泉を持ち、それぞれ違った泉質です。
- ブナ林に囲まれた乳頭温泉郷は、「湯めぐり帖」を持って各温泉を楽しむこともできます。2009年9月1日より運行しております「湯めぐり号」も湯めぐり帖でご乗車することができます。

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