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HOME 温泉メカニズム体験記 第7回 沖縄県 西表島温泉
 観光客とダイバー達を中心に年間約五万人以上の入湯客を集める、日本最南端にして最西端の温泉「西表島温泉」。亜熱帯の木々に囲まれ、高い転地効果を期待出来るこの温泉の魅力をめいっぱい体感してきた。
※写真:ヒカゲベゴ
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一本道に突然現れる看板
この先のバス停で停車する

バス停から温泉までの砂路が印象的。
路線バスの到発着に合わせて
マイクロバスでの送迎あり
 西表島大原港より一日三本しかない路線バスに乗る。浅黒い、人懐っこそうな笑顔で出迎えてくれたおじさんの運転で、一路「高那」へ。途中車窓からの景色から驚かされる。広大なさとうきび畑を抜けたかと思うと、「イリオモテヤマネコ飛出し注意」の看板が立て続く亜熱帯系プチジャングル地帯が続く。やっと抜けたかと思うと、左手に壮大なマングローブ生い茂る仲間川を見下ろすことになる。右手にはミントブルーの海だ。由布島だ。水牛車だ。
 おそらくマイナスイオンだらけの島のはずだが、ここまで手付かずの大自然を目の当たりにすると、“癒し”といわれるヒーリング効果を通り越し、興奮状態にさえ陥る。約25分のバスの旅。すでにかなりの満腹感とともに、いざ「西表島温泉」の門をくぐる。

このバス停が目印「高那」
 さとうきび畑の真ん中、白い砂路を歩く。日本最南端にして最西端の温泉は「ホテルパイヌヤマリゾート」に隣接して、その奥に佇んでいた。温泉のそのまわりをかこむのは原生林とシダ系の濃い緑に青い空だけである。おおよそ『温泉』のイメージはそこにない。驚きを隠せない小生をイリオモテヤマネコが山の陰からあざわらっているのだろうか。それほどに圧倒される温泉である。
 これが『「温泉メカニズム」体験記』の取材であったことを思い出す。ここで泉質等明記しておこう。泉質はナトリウム、カルシウム硫酸塩泉(低張性中性温泉)。神経痛・筋肉痛・関節痛等への効能がある。源泉の温度は35.8度(沸かし湯)、地下800mから毎分76l湧き出すという、昨今の沖縄離島ブームでにわかに注目を浴びている当温泉であるが、15年前から地元の方や観光客、ダイバー達を癒し続けてきている。けして湯温は高いとはいえず(この気候では低いぐらいで気持ちいい)、湯量も豊富とはいえないが、360°海に囲まれた小さな島である。この南国に天然温泉が涌き出ることだけでも、神秘さえ感じる。
 温泉内は男風呂と女風呂(ともに内風呂と露天風呂)、そして水着着用で入る混浴の露天風呂からなる。そもそも温泉たるもの水着ではいるのもどうかと思っていたが、なかなかこれも悪くない。というのもまわりは原生林、あたりは一面の芝生、パパイヤの木、ヒカゲベゴ(シダ)である。なかなか裸になりづらい状況なのかもしれない。すこしぬるめの、しかし確実に温泉であるそのお湯は人々を笑顔にする魔力をもっていた。気分爽快である。

露天風呂の目の前にパパイヤ
なかなか見ることの出来ない風情である

裸ではいる内露天風呂
その先にあるのはジャングル

やまねこの湯
こちらは水着着用

天然温泉のジャグジー
芝生やシダ類の緑色が印象的

お湯は無色透明の硫酸塩泉
湯温はぬるめ。

徒歩3分で海が見える
 1年の平均気温23.3℃、一番寒い1月でも最高気温の平均が20.2℃という西表島。この島の人々を含め、沖縄県ではあまりお風呂には入らないという。人間の“入浴行為”に理由を挙げるとするならば、おそらく「体をきれいにする」以上に「温まりたい」という欲求があるのではないかとつくづく思っていた。年中温暖な沖縄にあっては、自宅に湯船が無く、シャワーのみという家庭も少なくないらしい。実際この温泉で働くスタッフの方も、今年の冬のちょっと寒かった時(といっても15℃程度らしいが)に1回入っただけとのこと。
 しかしながらこの温泉では観光客とダイバー達を中心に年間約五万人以上の入湯客を集める。大自然と温泉にどっぷり浸かっていると思う。この温泉はもしかすると、他県からきた客人をもてなしてくれる沖縄の人々の温かい心の表れなのかもしれない。
COLUMN
 日本最南端に位置する八重山諸島であるが、思うほど交通のアクセスは悪くない。東京・大阪からは石垣島まで直行便が就航しているし、石垣港から各離島へは高速船が頻繁に往復する。今回石垣島を拠点に西表島・小浜島・竹富島とまわってみた。小浜・竹富は小さな島なので歩いて一周もできるが、西表は大きな島なので交通手段が必要。今回路線バスを利用したが、なかなかこれが味があっていい。乗り遅れてはなるものかと必要以上に発車時刻の前からバス停で待つのだが、西表の大自然、青い空ときれいな空気、心地いい風たちが待ち時間を退屈なものにさせないでくれるからだ。
(取材:大谷 紀彦)
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