芦原温泉は、福井県の北部、日本海に突き出た東尋坊から少し内陸に入った小さな町だ。周辺には、日本海を望む東尋坊のほかに北潟湖や吉崎御坊といった観光名所があり、観光客で賑わっている。北陸にいくつもある名湯の中では比較的新しいが、情緒のある温泉街が魅力だ。
この温泉が開かれたのは偶然によるものだった。もともと水田がひたすら広がる文字通りの田園地帯だったが、1883年(明治16)にそれまでなかったような干ばつに見舞われた。この時は全国的に干ばつが襲ったようだ。そこで地元の農夫らが、「念仏田」と呼ばれていた田に灌漑用の井戸を掘ったところ、噴出した水は湯気を立てており、塩分があった。それで温泉だと気づいて湯を家に持ち帰って入浴したところ、「大いに五体が休まった」と「芦原温泉発祥の地」の説明板に記されている。
このあたりは、数百万年前の「第三紀」といわれる地質時代の末期に火山活動が盛んになって、そのために噴湯が地下深くの岩盤の裂け目から湧き出て、上層の砂れき層に広がっている。地面の下にはずっと前から良質の温泉があったのが、井戸掘りによって出てきたわけだ。
名湯と観光名所があり、海の幸も豊富なことから温泉地として発達した。大正時代には「芦原芸者」が艶やかさを競ったとそうだが、今でも昔からのお座敷遊びは健在だという。
温泉発祥の場所は、町外れの小さな公園にぽつんと残っている。

町外れにぽつんと残る芦原温泉発祥の地の源泉跡。
碑文には明治16年の文字が見える |

中心地から外れると、静かな街並の中を
えちぜん鉄道の1両編成の電車が走っている |
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