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HOME 温プロライブラリ 「日本の名湯開発物語」 第1回 200アイテムの入浴剤を考えよ!
スペシャルコンテンツ/「日本の名湯開発物語」/2006年に発売20周年を迎える「日本の名湯」、発売開始から現在に至るまでの開発秘話を一足先にご紹介!
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ミッションはくだった
発売当初の「日本の名湯」
発売当初の「日本の名湯」

 1983年、今から22年も前のことだ。だが、商品企画の安田はその日のことを今も鮮明に覚えている。それほど彼ら関係者にとっては衝撃の日だったのだ。ツムラの入浴剤「日本の名湯」シリーズ。1986年の発売開始以来、世(市場)に送り出されたアイテムは延べ18種類に及ぶロングセラー商品である。その記念すべき一歩、誕生のきっかけが、この1983年の出来事であった。 その日、経営トップのもとに、商品企画部門から川久保、安田、研究部門からは谷野、綱川の4人のメンバーが集められた。

 そしてその場で、「バスクリンとは異なる入浴剤のアイデアを200考えて提出せよ」というテーマが与えられた。むろん仕事柄、新しい入浴剤、次の入浴剤のことは常に頭の中にある。しかし「200」という数を突きつけられ、「頭の中が真っ白になってしまった」と安田も当時を振り返る。

 一定のレベルを維持したアイデア。そして200という数。両方を備え、経営トップに「よし」と言わせなければならない。簡単な話ではなかった。
関係者一人ずつが考えたアイデアを持ち寄ったり、ブレーンストーミングの形でディスカションを繰り返したり、ともかくも知恵を絞り、200のアイデアを提出した。中には「瞬間湯沸し入浴剤」「レインボー入浴剤」など、ユニークなアイデアも出現した。
 「今こうして話すと微笑ましいエピソードになってしまうけど、当時は本当に真剣に考えた結果だったんです」研究の谷野は振り返る。

温泉入浴剤を開発せよ

 200もの膨大なアイデアの中で、経営トップはひとつのアイデアに注目した。
それは、「温泉入浴剤」であった。
おりしも時代は日本がバブル経済に突入する前夜。石油ショックや不況期を乗り越えた日本では、自分の時間、すなわち余暇をどう過ごすかが重要視されるようになり、レジャー志向も次第に高まっていった。また、自分の体に対して目を向ける余裕が生まれ、ちょうど紅茶キノコやサルノコシカケが流行し、「健康」がトレンドのキーワードとなっていった頃であった。このレジャー志向と健康志向があいまって、リゾート・温泉ブームが湧き起こっていったのである。

 「それだ!温泉入浴剤を作れ!」トップの決断は早い。ミッションはくだった。
しかし谷野、川久保らは手放しで喜べず、しばらくお互いの顔を見合わせていた。アイデアが通ったのは素直に嬉しい。もちろん温泉に入ったこともある。職業柄、普通の人より多いくらいだろう。だが、あらたまって「温泉とはなんぞや」と自分に問いかけてみると、いったいどんなものなのか、わからない。一から調べていかなくてはならなかった。

温泉へ行ってみよう
あらゆる本を調べた
現存している研究報告書の一部

 学術書から旅行ガイドまで、温泉と名のつくあらゆる本を調べた。調べながら集まって討論も繰り返した。机の上に山と詰まれた本を前に、誰もが押し黙ってしまうこともしばしばあった。重苦しい空気を破るように安田が言った。「それこそ気分転換だ。一番近くの黒潮温泉に行って話の続きをしようじゃないか」

研究所のある静岡県藤枝市からほど近くの「焼津黒潮温泉」に白羽の矢がたった。湯に浸かりながらも討論が続いた。周囲から見ればさぞかし不思議な客だったかもしれない。しかし、現場主義とはこのことを言うのか、実際に湯に浸かると頭も柔らかくなり、アイデアも出やすくなる。心なしか、寡黙な研究者の口も滑らかになる。
「今、自分たちが浸かっているこの気分だよなあ。これを入浴剤で再現できないものかなあ」黒潮温泉がきっかけとなったのか、開発者たちの温泉行は、その後も各々プライベートでも続けられた。なんとか開発の糸口を見つけ出したい、今思えば、その一心だったのだろう。

※日本の名湯は、温泉と全く同一というわけではありません。
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