
「日本鉱泉誌」
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「温泉は生きているのだから、湧き出たところで入らないと本当の効果は得られない」
財団法人中央温泉研究所、故益子先生の言葉。
その先生の言葉の中にこそ一条の光が射していた。「温泉分析表」というキーワードが出てきたのを研究の谷野は聞き逃さなかった。
「『温泉分析表』が温泉入浴剤開発の有用な手段になりそうだ」
今まではおぼつかない手がかりだったものが、少しだけだが何かを掴んだ、そんな気持ちになった瞬間だった。
さっそく会社に戻り、温泉分析表が掲載されている刊行物を手当たり次第に探してみた。もちろん今のようなインターネットでの検索などあるわけがない。
会社にある参考書籍を広げたり、図書館へ足を運んで調べたり、地道な作業だった。
しかも、今でこそ温泉分析表はどこの旅館でも掲げているが、当時は温泉分析表の存在さえも忘れているような状態である。
そう簡単に書物などみつかるはずもなかった。唯一見つかったのは、昭和29年に刊行された「日本鉱泉誌」だけであった。「これでは古すぎる。今現在のものが必要だ」
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