スペシャルコンテンツ/「日本の名湯開発物語」/2006年に発売20周年を迎える「日本の名湯」、発売開始から現在に至るまでの開発秘話を一足先にご紹介!

※文中に出てくる社名、団体名、商品名などは当サイトに初版で連載いたしました2005年6月から2006年3月現在のものです。


本物志向の道
とことんこだわる 妥協はしたくない

 温泉入浴剤としての「モノ」は出来上がった。
さあ、今度は、商品としていかにユーザーに受け入れてもらうか、という勝負が始まる。
それには、店頭に並んだときのパッケージデザインが重要な位置を占める。
どんなに中味に自信があったとしても、食品ではないから店頭で試食してもらうわけにはいかない。パッケージでピン!ときてもらって、家の風呂で使ってもらって初めて納得してくれるわけである。その「ピン!」ときてもらうパッケージを開発しなければならない。
それになんといっても「温泉を科学して作った」入浴剤であることを伝えなければ。
「温泉」から生まれるイメージをどんどん膨らませていった。試行錯誤が続いたが、妥協はしたくなかった。「中味もこだわったんだから、パッケージにもとことんこだわる」それが開発を推進した商品企画の川久保、安田の気持ちだった。

画期的な筆文字が中心に据えられたパッケージ

 パッケージデザインを担当したデザイナーは、ほぼ2週間徹夜状態となった。
そしてやっと決定したデザイン。それは当時としては画期的な文字を主体としたものであった。
日本人が古来から親しんだ筆文字系の力強い書体。温泉地の暖簾や看板には必ず1つはあるだろう、生活のどこかで目にしているような、親しみのある文字。
当時の入浴剤や家庭用品はやわらかなパステルカラーやカタカナ文字の「洋風」なものが主流であった。そんな市場に飛び込んでいく「文字」が目立つパッケージ。
「冒険してるという気持ちはありませんでした。本当に『コレだ!』って思いましたから。自信がありました」安田は言う。
筆文字が中心に据えられたパッケージは、当時としては画期的な独特のシズル感※を持って完成したのだった。
(※ シズルとは肉を焼くときの「ジュー、ジュー」という音のことで、「感覚を刺激して引きつける」という意味で使われる言葉。)
ついに「日本の名湯シリーズ」のパッケージも完成した。


発売当初の「日本の名湯」
温泉地や温泉はまさに生きている!

 すべては、整った。しかし、まだ温泉を科学した入浴剤とはいえない。
そう、分析表や資料を集め送ってくれ、惜しみない協力をしてくれた温泉地の人たちがいる。その温泉地の人々にとって納得できるものでなくては商品化はできない。
そして何よりも直接お礼が言いたい。
かくして開発者たちは生まれたばかりの商品を大切に抱え、それぞれの温泉地に飛び立っていったのである。
現地に到着し、すぐに観光課や観光協会の方々を訪ねた。そこには商品の完成を我がことのように喜んでくれ、苦労をねぎらってくれる暖かい人たちがいた。
「涙が出そうになった」と研究の綱川が当時を振り返る。
商品を囲んでそのまま温泉談義に花が咲き、話が尽きないこともしばしばだった。
そして、それまでは知らなかった温泉地情報はもちろんのこと、現地の人々の温泉に賭ける並々ならぬ思いがひしひしと心に響いた。
温泉地ごとに風情や情緒があり、ガイドブックでは伝えきれていない趣やお湯の質感、温泉地の香りがある。
温泉地や温泉はまさに生きている!
日本の名湯は、これらをすべて盛り込んでいてこそ温泉を科学したといえるのではないか。新たなテーマが浮かび上がった。
商品の完成を喜びあい、笑い声が上がるなかでも、開発者たちの心には次なる闘志の小さな火が燃え始めていたのだった。
そして、それは新たなる試練の道の始まりでもあった。

※日本の名湯は、温泉と全く同一というわけではありません。