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HOME 温プロライブラリ 「日本の名湯開発物語」 第9回 温泉探索その裏話2
スペシャルコンテンツ/「日本の名湯開発物語」/2006年に発売20周年を迎える「日本の名湯」、発売開始から現在に至るまでの開発秘話を一足先にご紹介!
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温泉探索その裏話2
容易ではない旅館や浴場との交渉

 これまでにツムラが行った温泉探索は、温泉数でいけば500から600湯。温泉探索回数も20回は優に超えている。これだけ行けば成功談も失敗談にも恵まれている。
前回も書いたように、基本的に温泉探索では事前アポイントはしていない。現地へ行って初めて知る秘湯や地元の人の評判によっても行き先が左右されるのでがんじがらめのスケジュールでは動けないためだ。
だから最初に旅館や浴場と交渉する者の役割は重い。
今でこそ、日帰り湯、立ち寄り湯という言葉も一般的になったが、温泉探索を始めた当時は、宿泊するのが当然だった。それを「ほんの数分だけ入らせて欲しい」と、見ず知らずの男性が交渉するのだから、いぶかられるのも当然だ。名刺を出しても怪訝な顔をされる。
仕方がないので、「バスクリンのツムラです」と自己紹介をすれば、「湯船にバスクリンを入れるのか?」と言われたこともある。
温泉を盗みに来たのではないか、と怪しまれたこともあった。分析表をいきなり見せてくれるところはまず無かった。10湯まわって5湯にしか入れない、などということもしばしば。協力的な旅館から排他的なところまでさまざまだった。
湯のほうも当然、思い込みと違うわけで、無名の温泉でもすごいもの、期待以上のものもあれば、有名どころでも行ってみたら「こんなものか」という、あてがはずれることも少なくなかった。

温泉探索も当初はスーツ姿。ところが…

 とにかく怪しまれないように、そして礼を尽くさねば。
そんな思いから、温泉探索も当初はスーツにネクタイ姿で訪れていた。ところが東北や北海道など寒い地方では、初秋といえども雪が積もっていることも多い。「今でも忘れません、登別を訪れたときでした。スーツに革靴で出かけてしまったら、転んでばかりで温泉になかなかたどりつけないんですよ。えらい目にあいました。それからは出来るだけ動きやすい格好で出かけるようにしています。たとえば紐靴とかもNG。さっと履いて次に行けるような靴やサンダルがベストなんです」。

さまざまなジレンマの中、ある夢の商品開発へ

 失敗をしながらも探索を繰り返すうちに、お湯に浸かっただけで、その感触からおおよその成分がわかるようになった。さらりとしてたり、ぬるっと感じたり、軋み感があったり。
色や香りはさらに心強い味方だ。鉄分が多ければ赤茶けた色になっていることが多いし、錆びたような匂いもする。しかも、なめてみれば一目瞭然。しょっぱかったり苦かったり。
湯につかり、感触を確かめ、匂いを嗅いで、味を確認、この一連の動作で、おおよその温泉成分が言い当てられるようになっていた。
「温泉探索が始まって以来、プライベートで行ってもついついやっちゃいますね。怪しい人ですよね」。安田は笑う。
こんな笑い話のような体験談だけならいいが、苦労や悔しい思い、やるせない思いもたくさんある。一軒宿、秘湯と呼ばれるところによい湯があることも事実だった。だが、今度はネームバリューがない。誰もしらない温泉名を商品に掲げたところで、消費者は首をかしげてしまうだろう。
また、少人数で湯を守って旅館経営しているようなところでは「有名になったらやっていけない」と断られることもあった。さらに、いくらよい湯だと思っても、入浴剤として商品化できない成分のものもある。さまざまなジレンマが開発者を襲った。
 だが、彼らの胸には、そのときすでに期するもの、ある夢があったのだ。
入浴剤開発者が、誰でも一度は膨らます夢、どうしても作りたい、ある入浴剤。
それが日本の名湯シリーズ、第2弾のリリースでいよいよ登場することになるのである。

※日本の名湯は、温泉と全く同一というわけではありません。
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