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これまでにツムラが行った温泉探索は、温泉数でいけば500から600湯。温泉探索回数も20回は優に超えている。これだけ行けば成功談も失敗談にも恵まれている。
前回も書いたように、基本的に温泉探索では事前アポイントはしていない。現地へ行って初めて知る秘湯や地元の人の評判によっても行き先が左右されるのでがんじがらめのスケジュールでは動けないためだ。
だから最初に旅館や浴場と交渉する者の役割は重い。
今でこそ、日帰り湯、立ち寄り湯という言葉も一般的になったが、温泉探索を始めた当時は、宿泊するのが当然だった。それを「ほんの数分だけ入らせて欲しい」と、見ず知らずの男性が交渉するのだから、いぶかられるのも当然だ。名刺を出しても怪訝な顔をされる。
仕方がないので、「バスクリンのツムラです」と自己紹介をすれば、「湯船にバスクリンを入れるのか?」と言われたこともある。
温泉を盗みに来たのではないか、と怪しまれたこともあった。分析表をいきなり見せてくれるところはまず無かった。10湯まわって5湯にしか入れない、などということもしばしば。協力的な旅館から排他的なところまでさまざまだった。
湯のほうも当然、思い込みと違うわけで、無名の温泉でもすごいもの、期待以上のものもあれば、有名どころでも行ってみたら「こんなものか」という、あてがはずれることも少なくなかった。 |