郡司勇の「お題別マニアック温泉」

第2回のお題「硫黄泉」
全国各地にある温泉の中でも、最も温泉らしい泉質は硫黄泉でしょう。
少量でも非常に個性を発揮する硫化水素の作用で、白濁や緑色になったり、ゆでたまごのような、特有の臭い硫化水素臭がしたり、様々な個性を発揮します。

硫化水素は温泉法では1mg/kgから温泉として規定され、倍の2mg/kg以上であれば療養泉として硫黄泉と記されます。
硫黄泉は大きく2種類に分けられ一つは遊離硫化水素を含むもの(硫化水素型)、もう一つは硫化水素イオンを含むもの(硫黄型)です。この2つは表現される色や匂いが大きく違います。
温泉分析表
硫化水素型
硫化水素型の特徴は真っ白に白濁して焦げたような強い硫化水素臭がし、味覚は酸味や苦味があります。硫化水素型の温泉は火山性の温泉が多く、噴気や火口の近くで湧出しています。
真っ白に濁った美しい湯と、濃い硫化水素の匂いで、温泉としての印象が強い温泉がほとんどです。酸味があることが多く、草津や蔵王、雲仙などの酸性泉に分類される温泉でも遊離硫化水素を5から10mg/kg含有し、白濁していて存在感を高めています。

硫黄型
次の硫黄型は緑色透明になり、バスクリン(ツムラ)を入れたような綺麗な色になります。
匂いは甘い硫黄臭で、味覚的にはたまごのようなまったりした感じです。
硫黄型は、硫化水素イオンとして湯の中に溶けこんでいるもので、全国に数多くある単純硫黄泉というのにはこの型が多く見られます。
仄かに香る硫黄臭と別成分のためですが、つるつるの感触があることが多く、戸倉上山田温泉や層雲峡温泉、二日市温泉など少量の硫黄分が溶けこんでいて風味を増している温泉地が数多くあります。
私がいままで入浴した、全国の温泉の中で分析表を調査した結果、
硫黄分の含有量の多い順は以下のようになりました。
1位 群馬県の万座温泉(じゅらく)313.5mg/kg
   (150mg/kgの豊国館もある)
2位 新潟県の月岡温泉(泉慶)173.9mg/kg 
3位 福島県の吾妻高湯温泉(ひげの家)148.8mg/kg 
4位 長野県志賀高原の熊の湯温泉 115.4mg/kg 
5位 岩手県の国見温泉 104.3mg/kg 
6位 宮城県の鳴子温泉(ゆさやうなぎ湯)97.5mg/kg
7位 長野県五色温泉 90.4mg/kg 
8位 青森県新屋温泉 84.8mg/kg です。

1位の万座温泉は温泉規定量の300倍以上の数値を示しており、濃厚な硫黄泉の筆頭です。
このうち1位の万座温泉と3位の吾妻高湯は硫化水素型、2位の月岡温泉と4位の熊の湯温泉は硫黄型です。5位の国見温泉と7位の五色温泉は混合型です。
群馬県の万座温泉
(松屋)
第2位 新潟県の月岡温泉
(泉慶)
第3位 福島県の吾妻高湯温泉
(ひげの家)
第4位 長野県志賀高原の
熊の湯温泉
 
第5位 岩手県の国見温泉
 
第6位 宮城県の鳴子温泉
(ゆさやうなぎ湯)
第7位 長野県五色温泉
第8位 青森県新屋温泉
濃厚な硫黄型は緑色になり濃い硫黄臭があるので存在感があり、また遊離硫化水素の多い温泉は白濁しますが、5mg/kg以下ほどの薄いものは、硫化水素が飛んでしまうと白湯のようになってしまう繊細なものです。源泉湯口にわずかに硫黄臭が残っていても循環や加熱には耐えられず透明、無味、無臭になってしまうので薄い硫黄泉は温泉の使い方の良い指標になります。
良い使い方をしている温泉にめぐり合うと、源泉をうまく生かして使っている温泉宿の気持ちが良くわかり、濃厚なものよりさらに嬉しく感じます。